9月の初めのまだ暑かった月曜日の朝、新潟大学に安保先生を訪ねて行きました。前の日に、ある化粧品会社のセミナーで講演をしたのですが、そのときの話もきちんとまとめてこのコーナーで書きたいとは思います。でも、そのときと似た話を、最近のシティリビングの取材で話しましたので、ホームページの掲載雑誌紹介のコーナーで読んでみてください。
それで、安保先生の話に戻りますね。トキコクリニックのしあわせ塾主宰者の富田さんと一緒に行ったのですが、安保先生とさよならしてから、まるで映画館から出てきた後のように二人で大興奮しました。「すっごい元気がでる先生だよね!」とか、「こんな人柄の素晴らしい先生はみたことないね」とか話し合ったほどです。それくらい、理屈ぬきで素敵な先生だったんです。津軽弁でお話になるんですが、それがとっても味があって、心がこもっていて、先生の熱意が伝わってくるんです。
私は美容のことも、皮膚の病気のことも、すべて同じように考えていて、とにかく、みんなが幸せになるためのお手伝いをしたい。私の元気をみんなにわけてあげて、みんなが元気になってほしい。そう考えていつも仕事をしています。
そのために、できることはなんでもしよう、揃えられる治療はできるだけ揃えよう、そう思ってやってるうちに、西洋医学も東洋医学の区別なんかいらない、役に立つことはなんでもやろうというようになって、今のトキコクリニックができました。
安保先生の考え方は、全面的に私の考えを理論的に説明してくれるものでしたし、医学に対する考え方も、こころとからだを一体化してとらえるという、私が従来から考えていたのと同じものでした。そしてなにより、患者さんを治そうという徹底した思い、病気の本態を先入観や常識にとらわれずにまっすぐに見るという姿勢も、私が普段から心がけていることと同じでした。私は若輩ながら、ここにこんな立派な先生がいた!とあぜんとした思いでいっぱいでした。そして、まだまだ修行の足りなさを思い知らされました。
しかし、圧倒的に私が安保先生に刺激を受けたこと、それは、患者さんのために、自分が正しいと思う治療は絶対やりぬくし、それを一生懸命説明する努力を最後までやる、という治療の姿勢でした。
私の専門分野のひとつにアトピー性皮膚炎がありますが、アトピーの問題で、ステロイドのことはとても厄介な問題です。私はいつも、ステロイドを使わずに治療をするようにしていますが、患者さんによっては使わずにはいられないと考える人もいます。あまりに症状がつらくて、一時押さえであることはわかっていても、根本的な治療に取り組むだけの精神的、時間的余裕がないために、ステロイド依存を続けている人がたくさんいます。
私は、安保先生にお会いするまで、それも仕方ないことだと考えていました。十分に説明してそれでも患者さんがステロイドを使うことを選ぶなら、それに協力してあげることも必要ではないかと思っていました。
しかし、安保先生は、「ステロイドをやめさせられないのは先生が迷うからさ」とおっしゃいました。私が迷うから、患者さんも迷うし、不安になるのだと。ステロイドを使ったほうがやっぱりいいのかなあと私が迷うから、あるいはこんなにひどくてほんとに治るのかなあと私が疑いを持つから、だから患者さんはとことん頑張れないんだと。
私は夢から醒めた思いでした。そうだ、私の腹の据わり方が甘かった、ほんとに患者さんのためを思うなら、なんとかしてステロイドをやめさせることに全力を注ぐべきだった、と。私はまだまだ、患者さんを本当に背負いきれていなかったのでした。
私は優柔不断のところがあって、あっちもこっちもうまくやりたい、うまくやれたらいいな、と考えるところがあって、治療にもそれが表れていたのです。信念を持って、体制に反することでも正しければやる、という、断固たる姿勢を持たなければならない、私は安保先生にそのことを教わりました。
最後に、10月16日号の週刊文春のコラムで、斉藤孝さんが書いておられる「説教名人」からの抜粋を紹介します。
「こうした道を切り開く運動や、いろいろなプロジェクトを見て感じることは、中心となる人物が不退転の決意で臨んでいるということだ。誰かが本気で「絶対なんとしてでもやり遂げるのだ」と踏ん張っていなければ、動きは衰えてきてしまう。みんながなんとなく実現したいと思っているだけでは不十分なのだ。だれか一人でもいいから、絶対に退かないという決意を示し続けることが必要なのだ。」
私は、これからも、医療の常識や慣例にとらわれず、からだとこころとひふを一体にとらえ、一人でも多くの方が幸せに元気になれるように、知恵をしぼり、工夫をし、闘っていきたいと思います。
そのために、ただいまプロジェクト進行中ですが、それは次回にお話します・・・。
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