糸リフトは手軽にリフトアップできると世間的には人気の治療のようです。

トキコクリニックでも、もちろん、糸リフトの治療を行っています。

でも、かなり適応が限られるんですよね。

糸リフトを受けて後悔してほしくないし、失敗したと思われるのも悲しいから。

そもそも、糸リフトとはどんな治療なのでしょうか。

糸リフトとは?効果は?

糸リフトとはそもそもどんな治療なのかというと、ギザギザがついている糸とか、コーン状のものがついている糸とかを皮下に挿入して、ひっかけて引き上げるというものです。

スレッドリフトとも呼ばれます。

糸で引き上げたらあっという間にリフトアップできそうで、受けてみたいと思う方が多いのもわかります。

でも、いろいろ問題点があります。

糸リフトのデメリット

糸リフトの問題点、それは。

ひっかけているだけなので、そのひっかかりが外れてきたらまた戻るんですよ。

だから、引っ掛かりの強い糸を使うとか、糸の本数を増やすとか、試行錯誤が行われているのです。

持続期間は個人差はありますが、また受けたいと来られるのは1~2年後が多いので、それくらいで効果がなくなっているのだと思います。

私は、個人的には、実はかなり限定してこの治療を行っています。

糸リフトをしてほしいといわれても、あまり向いていないからしないほうがいい、と言うこともありますし、まずは他の治療をして糸リフトができる状態にしてからにした方がいいいと言うこともあります。

でも、糸リフトがぴったりはまるケースももちろんあるので、やった方がいい!と思える場合は受けていただきます。

糸リフトが失敗しやすいかどうかの見分け方

まず、一番簡単な見分け方は、自分の指で引き上げてみて、皮膚が耳の上あたりでたくさん余るようならしない方がいいってことです。

皮膚が余りすぎている人は、いきなり糸リフトはおすすめしません。

皮膚が余っているたるみに糸リフトをすれば、皮膚によれが生じます。

服の袖をたくし上げたら腕の上の方で生地が集まってしわになりますよね。

あれと同じことです。

袖が長いなら、その分を切るのが正しいのであって、たくし上げても問題解決にはなりません。

その場合は、まずヒアルロン酸注入などでボリュームを少しつけたり、HIFU(ハイフ)やRFの機械で皮膚の引き締め治療をして皮膚のハリを出すことから始めます。

また、トキコクリニックでは行っていませんが、手術を検討できる人ならフェイスリフトのオペを受けるのが一番根本的な方法だと思います。

しかし、手術はハードルが高いわけで、それで糸リフトが手軽で効果が高いと人気になるわけですね。

くどいようですが、皮膚がたくさん余っている人は糸リフトは向きません。

それ以外では、脂肪が少ない人に行うのもあまり気が進みません。

皮膚が糸で引っ張られてひきつれやくぼみができることがあるからです。

もちろんそうならないように、深い層に入れるようにしたり、無理なひっぱりを行わないようにします。

もしそうなったら糸の引っ掛かりを指で少し外してなじませる調整を行うので、深刻な問題ではありませんが、そうなる可能性がある人に糸を入れるのは気が進まないのは確かです。

ではどういう人が向いているのか。

糸リフトがおすすめな方は

糸リフトが向いている方、それは。

ある程度顔に脂肪がついている方です。

糸リフトは、脂肪の移動をさせるものだと考えています。

例えば、頬の下の方の脂肪が耳の前のほうに動いてくれるといいな、とか、ホウレイ線の上の脂肪が斜め上に動いてくれたらいいなとか、考えるわけです。

それを糸でひっかけて動かせば皮膚がよれることもないし、自然な仕上がりになります。

だからある程度の脂肪がある人がいいんです。

といっても脂肪が多すぎると重くて引き上がりきらず、効果の実感が乏しいということになります。

こういう場合は脂肪分解注射などで脂肪の量を減らしてから、糸リフトをするほうがいいと考えています。

脂肪の移動ではなく、皮膚の引き上げを考えて浅い層に糸を入れるやり方もありますが、手で触ると糸が触れたり、よく見ると糸の部分だけピンと張った感じになって不自然だったりするので、私は好きではありませんからやりません。

もちろん、そのやり方でとても上手に入れる先生はいますから、一概には言えないですけどね。

糸リフト後どれくらいの期間痛いの?後遺症はあるの?

糸リフトをした日から数日間は、腫れたように感じたりむくんだりすることがあります。

内出血も時々起こります。

だいたい、2週間ぐらいでいい感じかも、と思うことが多いですが、落ち着くのには一か月みていただいています。

糸リフトを受けていただいたたくさんの患者さんの中で、一番私がつらかったのは謎のしこりができたケースです。

どうしてなったのか今もわかりません。

患者さんは受けなければよかったと涙を流されて、私も申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

糸はだんだん吸収されてなくなっていくので、やがてはしこりもなくなるのですが、早くしこりが消えるようにいろんな治療をしましたけれど、あれを思うと、安易におすすめができないのが正直なところです。

それは一例だけで、それ以来起きていないのですが、いつも何も起きませんようにと祈りながら糸リフトの治療を行っています。

車の運転もいくら気を付けていても突然歩行者が飛び出してくる可能性があって、考えたら怖いですよね。

だから、とても慎重に運転します。

そのように糸リフトは、効果が出なくてがっかりさせることも嫌だけれど、トラブルなく、やってよかったと喜んでもらえるように、糸リフトが一番いいと思える方にだけ行うようにしているのです。

ちなみに、顔のたるみの改善は、足し算と引き算が大事だと考えています。

どういうことかというと、脂肪が多ければ減らす、少なければ足す、皮膚の引き締めを行う(皮膚の面積を減らす)、筋肉が強く緊張しているようなら緩める、骨が痩せているようなら代わりになるものを足す、などです。

そのうえで、糸リフトがより効果的に働くと判断したら行うのが良いと思います。

コンビネーション治療と呼ばれるのはそういう考え方に基づいているのです。

若い人はたるみがほとんどないので、糸リフトは案外効果が出やすいと思います。

たるんでいない人にするのもどうかとは思いますが、もっと引き上げたいと願う若い人も多いので(笑)。

足し算と引き算をどうやってやるのかは、また別に書きたいと思います。

この記事の監修医師

小村 十樹子

1992年神戸大学医学部卒業後、アトピー性皮膚炎やニキビ治療に専念。1996年10月に、心と身体と肌の健康を目指した美容皮膚科クリニックを開設。