ヒアルロン酸の持ちはどれくらいなのか

ヒアルロン酸を初めて注入する方から必ず質問されることは、どれくらい持ちますか?ということ。

一般的な答えとしては半年から1年、ということになりますが、実際はヒアルロン酸の種類によっても、また注入する場所によっても異なるのです。

頬のリフトアップ、ボリュームアップの目的によく使われるアラガン社のボリューマという製剤の持続期間は1年から1年半とされていますが、実際は8〜10か月程度で物足りなさを感じる方が多いかも。

ところが同じボリューマを使って額に注入すると、2〜3年近く持続する傾向があります。

これはいったいどういうことでしょうか。

打つ場所によってヒアルロン酸の持ちが違う・・・?

ポイントはよく動く場所かどうかです。

動きの多い場所は早く減る傾向があるのです。

同じことはホウレイ線にも言えて、私はここにアラガン社のボリフトやボリューマを使うことが多いのですが、やはり1年は持ちません。

ちなみにボリフトはボリューマより少し柔らかくなじみのよい製剤で、皮膚が薄い場合や、広めに注入してなじませて仕上げたいときはボリフトを、しっかり塊のように注入したいときはボリューマを使います。

同じホウレイ線でも、刻まれたしわを改善させたいときは浅めに注入する必要があるので、アラガン社のボルベラというさらになじみのよい製剤を使います。

硬いものの方が長持ちする、柔らかいものの方が早く減る、という傾向はありますが、それよりは場所の問題の方が大きいように私は感じていて、どれを使おうが、ホウレイ線や頬は何年も持つことはないし、額のようなところは数年単位で持続するようです。

動きの多い場所が動きにくい場所に比べて早く減るように感じるのは、二つの理由があると思っています。

一つは減っているというより、動くことで周囲にどんどんなじんで広がっていって減ったように感じるというもの。

ヒアルロン酸は注入して半日ぐらいはマッサージすると動きますが、その後固まってその場にとどまる性質があり、そんなに動くものではないと考えられていますが、周りになじむ効果はあるので、少しずつ周りになじんてその場から減っていくということは考えられます。

もう一つの理由は、動きの多いところは血流もよいし代謝がよいため、ヒアルロン散の吸収が早いのかもしれないということ。

もちろん個人差もあります。

すぐ減ってしまう人もいれば、いつまでもなくならない人もいます。

でも、なくなることがむしろいいんじゃないかと、私は思っているのです。

皮膚の組織に吸収されてなくなっていくものの方が安全です。

昔は吸収されることがなくいつまでもそこにあるという製剤、アクアミドというものが使われていたこともありました。

吸収されないということは身体にとって完全な異物です。

肉芽腫という異物反応が起きて、何年もたってから腫れあがったりすることが起きると報告されるようになり、危険なものだから使わないようにしようということになりました。

私は使わなかったですけど、当時はそのことで困っている患者さんを何人も見ました。

だから、なくなっていいんです。

また入れたらいいので。

ただ、ここで半減期、という考え方を頭に置いておく必要があります。

ヒアルロン酸を打ち続けるとどうなる?

半減期とは、吸収されて半分ぐらいになくなるまでの期間のことです。

半分なくなったらすごく減ったように感じます。

たぶん、物足りなくなった、もうなくなった、また入れてほしい、と感じるのは半減期を過ぎたあたりからなのではないかと思われます。

半分なくなっているのですが、半分残っているのです。

この段階で同じ量を注入するとどうなるでしょう。

半減期を過ぎてから注入する人はまだいいです。

そこまで減っていないのに、少し減った段階でまた入れてしまう人もいて、それを繰り返し打ち続けるとぱんぱんの状態になったりするのではないでしょうか。

ヒアルロン酸は組織と接触しているところから吸収が始まるので、塊で周囲との接触面積が少ない方が吸収がゆっくりになります。

量が多い方が減りも遅くなります。

でもデザインってものがあるし、一か所にたくさん入れるより、細かく分けて注入した方が自然な仕上がりになるのは確か。

面上に入れることで肌のハリを出したり、リフトアップ効果を増強させることも戦略として用いるわけです。

だから、減りを遅くすることより、綺麗な仕上がりを重視することが大切で、それは注入直後の状態の綺麗さだけでなく数か月たった状態も綺麗でいるように考えて注入したいと思っています。

私は、前回どこにどれくらい入れたかを踏まえて、再注入を行うようにしています。

少し減っただけなら、減った分だけ少しだけ注入する。

まだたくさん残っているのに物足りなさを感じ始めたのなら、違う場所に注入する。

そうやって、ぱんぱんにならないように気を付けています。

逆にいつまでもヒアルロン酸が減らないことがあります。

何年たってもなくならない、触るとしこりのようなものが触れる、という方がいらっしゃるのです。

それは、ヒアルロン酸の周りに被膜ができてしまって、ヒアルロン酸の分解吸収を妨げているからなのです。

こういう時は被膜の中に、ヒアルロン酸を分解する酵素であるヒアルロニダーゼを注射して分解をさせるように試みます。

他にも注入したヒアルロン酸がなくならない、あるいはあまり減らないと感じることがあるのは、ヒアルロン酸がゆっくりと吸収される際に皮膚のコラーゲンに置き換わることがあり、ただヒアルロン酸がなくなるだけじゃなく、コラーゲンが増えた、という状態であることも。

この場合は、しこりになってもいないし、喜ばしい状態ですね。

目の下のくぼみに注入を何度かしているうちに、あまり減らなくなったということを経験するのですが、それはこのパターンだと考えています。

こんなふうに、一概にヒアルロン酸の持続期間を約束することはできないのですが、おおよその目安はお話しできますので、治療を受ける前によくドクターから説明を聞いて納得ができれば受けるようにされるとよいのではないかと思います。

この記事の監修医師

小村 十樹子

1992年神戸大学医学部卒業後、アトピー性皮膚炎やニキビ治療に専念。1996年10月に、心と身体と肌の健康を目指した美容皮膚科クリニックを開設。